場づくり考3 どの街がいいか2 京急 南太田〜横須賀中央

駅を出て、海風が吹くだけで
いい街バイアスがかかってしまうのは
海の近くで育ったからなんだろうな。

今日は、横須賀。
ここは、ヨコスカ。
18時半から、某アーティストのLiveで。

千葉の内房で育った私に、横須賀という地名は、
総武快速線の終点のひとつとして、
海の向こうの遠い街としての聞きなじみはあっても、
本来千葉人や東京人が頻繁に来るところではなくて

でも、僕は、この街に来るのは、まだ2回目でしかないけど。
憧れは大きく。若い頃から。

それはきっと、人生の先輩方にとってはベタでしょうけど
そして、同年代かそれ未満の友人たちには、レアでしょうけど

百恵さんと、矢作俊彦

僕は20歳ぐらいの頃、諸々の家庭事情と虚弱事情とでで、
中々生活、というか人生がしんどくて

「俺がお前を一生幸せにするぜーHey」みたいな曲に全然関心が持てず
そもそも恋愛しないんだから、ラブソングなんて必要なくて

なんというか、人生の悲哀が滲む曲が好きで
フォークと、70年代ばかり。

なので、その生い立ちや雰囲気(演出もあったでしょうけど)から
特に百恵さんを崇拝しており、
20歳のバレンタインは、浅草東宝オールナイトで
5本ぶっ続けで百恵さんを見るほどで
伊豆の踊り子絶唱エデンの海風立ちぬ、泥だらけの純情、だったと思うけど、うる覚え

それこそ彼女ばかり聴いていて
年下の女子に貸したきり借りパクされてしまった
自伝「蒼い時」も勿論愛読していたのですが、そこに

「私はいつも、どんなときも、何があっても、絶対大丈夫と思える」
というようなことが書いてあって、
あぁ、自分はとてもそうは思えない。スターは違うなぁとか。

彼女の横須賀曲と言えば、一般的には「横須賀ストーリー」が有名ですが
僕は、彼女の引退ライブで歌われた、「I CAME FROM 横須賀」の迫力に打ちのめされてしまって。

彼女は当初、決して優れた歌い手と評価されていたわけではないようなのですが
伸びと艶のある声、これで20歳前後だとは信じ難いですよね。

で、この曲、次から次へと京急の駅名が出てくるんです。
最近はこういったリアルさのある曲が減りましたね。

そして、もう一人、矢作俊彦さん。
まぁ、私なぞが言うこと何もないのですけど
僕は日本一のハードボイルド作家だと思っていて。

きっかけは、学生の頃一時純文学に飽きて
当時ノッていた福田和也氏の「作家の値うち」という
純文学・大衆文学の現代作家の作品を
採点し序列化するという何とも野心的な書を読み

その中で評価が高かった山口雅也氏と、矢作氏のを見比べ
何となく難解に感じた山口氏を置き、矢作氏を取ったというところなのですが

マイク・ハマーへ伝言」とか
「リンゴォ・キッドの休日」とか
ロング・グッドバイ」とか

私のようなものには、
ただただ、格好いいとしか言えないのですが

これらの舞台は、たしか横須賀だったと思うのです。
ドブ板通りとかね、もうメインステージ。

そんな憧れもあって、学生時代の一時期、学業もあって
横浜の西区と保土ヶ谷の間あたりに住んでみたのですが、
桜木町も関内も石川町も、一寸変わっていましたね。

でも、横須賀は、変わらない。
って、昔のことは知りませんけど。
街並みがさして変わってないことは、わかる。

古いというほどではないけども、
決して「時代」の先端をフォローしていくことを
望んでいるとは言えない街並みは

そこが戦後のある時期、
今とは違って、大変に栄えたことを示すと思うのですけどね

横須賀の街は、以前の街並みが残りつつも
古臭い感じはなく、今も英語の声と文字が飛び交い、
シャレたハンバーガーカフェや、美味そうなカレー屋が並び
やんちゃな感じだったり、セーラーのような制服を着たりした
若い子たちが駆け回る、活気のある街で。

いい街だなって。
かと思えば、今いるカフェのようなお洒落な場所もあるし。

で、ふと気付いたのですが、
私は、この横須賀の街のような

海からすぐ切り立った丘になるような
海から山までの距離が短く勾配が急な街並みが好きなんだなって。

街選びの条件として、
海があること、海からほど遠くないところに山と緑があること、
それでいて、災害リスクが低いこと、を上げる以上、
この横須賀のような街並みがいいのかもしれない。

京急の南大田あたりから汐入あたりまでは
本当に緑が多くて、
坂も多くて、緑溢れる斜面に家がぎっしり並ぶ街並みは

なんというか潤いとセンスのある街並みで
このあたりのいいかもなぁなんて。
京急の特急で、日本橋辺りまで直通があるなら、全然アリかもしれない。

同じような海からすぐ切り立った丘になる街並みは
千葉にもある。

千葉の九十九里浜の北端、旭あたりから銚子あたりと、
内房側の鋸南から館山のあたり

前者はあまり賑わいのあるところではないし、都心へのアクセスも厳しい。
後者は都心へのアクセスはそこまで悪くないし
面白い活動をしている友人たちもいるし、
何より自分のふるさとでもある。

でも、自分の地元だからこそわかる。
千葉の房総というところは

不思議と人の流れがない。
どん詰まりなんだ。

もちろん地元の人たちとコミュニティを作るにはとても魅力ある場所だし
サーファーや、週末農業、観光目的の人たちを呼び込むことには大いに可能性のある場所。

でも、「都市」で、自発的に何かが生まれ、
「都市」と「時代」に働きかけていく場を作りたいという自分にとっては
もうちょっと都心、東京という都市に近いところがよくて

そう考えると、自分が成田と羽田の両空港へのゲートウェイになると考えている
日暮里・上野・秋葉原のあたりから、この横須賀あたりまでで
検討してみるのが、自然なのかもしれない。

ちなみに、本日お邪魔している素敵な汐入のカフェはこちら。
Cafe musettoさん。
http://www.fare-gp.co.jp/musetto/

5月の温かで爽やかな昼下がりに
気持ちいい風が抜けるカフェです。
美容室が経営されているそうで、美容にいいというブレンドハーブティが
とっても美味でした。



もちろん、海、にこだわらず、内陸に入るという選択肢もあるのだけど
20代友人たちと御宿の海近くで家を借り続け
海の喜びを知っている身としては、諦めたくないものでもあって。

まぁ、まとまりないですけど
街選びは、路線選びとも言えるのかもと思った、今日の京急小旅行。

今週は、ざっくりエリアを決めて
路線巡りの旅を計画してみようと思います。


ちなみにちなみに、
某アーティストって、℃-uteなのですけどね。
いやはや、実力申し分なしの彼女たち、ブレイク寸前です。